父親の借金が原因の自死遺族として

更新日:

私は14歳の時に、借金が原因で父親を亡くした自死遺族です。

父は、いつも仕事に真面目に取り組んでいて、優しかったという思い出しかありません。

自営業だった父は、実家が多くの山を所有していて、比較的裕福な家で育ちました。

結婚してから実家の家業を受け継いで熱心に働いたので、会社をさらに大きくすることができました。

ただその一方で、頼まれると断れない性格だったようで、昔の知り合いが起業をするので借金の保証人になってほしいと言われ、そのまま受け入れてしまいました。

しかし知り合いの事業は失敗し、多額の負債を抱えてしまいました。

photo by gregt99

やがてその借金は保証人の父にも厳しい取り立てがくるようになりました。
スポンサーリンク

父親の借金の原因は知り合いの連帯保証人になってしまったことでした。

それは簡単に返済できるような金額の借金ではありませんでした。

父は連帯保証人という形で最初に知り合いに700万円を貸していました。

次いで300万円~500万円という多額の借金の保証人に3回もなっていました。

保証人になっている借金の総額は2000万円を超えていました。

日増しに借金の取り立てが自宅に来るようになり「借金、お金、手形」という会話が聞こえてきたことが記憶に残っています。

特に「手形」という特殊な言葉をよく覚えています。

保証人になってしまった借金の返済をするために、会社が傾いていったことは幼心にも分かっていました。

父の実家が所有していた山林が人出に渡るたびに、近所で噂になり私の耳に入ってきていたからです。

従業員も解雇して、最後に番頭さんのような存在の父の片腕だった従業員もいなくなりました。

父親の必死の借金返済

photo by gregt99

恐らく必死に借金の返済をしていたのだと思います。

それでも家族の前では疲れた様子を見せることもなく、最期まで借金苦を微塵も感じさせないものでした。

きっと家族に心配をさせないよう、少なくても子供にはそんな仕草ひとつ見せずに返済していたのだと思います。

いつも通りの優しい父親でした。

父の訃報。

中学生の私は、専業主婦だった母親と妹と一緒に、自宅で学校から帰宅しておやつを食べているときでした。

自宅の電話が掛かってきて、母が「ひーっ」という声を出したことを今でもハッキリ耳に残っており、その声を聞いた時の不安で今にも泣き出しそうな妹の表情も鮮明に覚えています。

電話をかけてきた人は警察官でした。

父が車を運転操作を誤ってブロック塀に激突して、既に意識がない状態だということを知らせてくれました。

搬送された病院の場所を聞いて、すぐに家族全員で駆け付けましたが、病院で出迎えてくれた警察官と看護師に地下にある部屋に案内されたことで、父が亡くなったことを悟りました。

死因は交通事故によって全身打撲になり、さらに出血がひどかったことによって、救急車が駆けつけた時には既に意識がなく手の施しようがなかったということでした。

妹は意味が分からず泣いているだけでしたが、母を二人でそういった説明を受けながら茫然とした気持ちでした。

私は何をすればいいのかわからず、頭が空っぽになるというのはこのことかと他人事のように感じていた部分がありました。

一方で、交通事故による死亡だと言われても、すぐに母は自死だと気付いていたと後で話してくれました。

自死遺族への遺書。

母の言葉を裏付けるかのように、父の葬式を済ませてから遺品の整理をしていた時に、書斎から遺書と日記が見つかりました。

日記には、借金が返済できないことの苦悩や焦りが綴られていました。

ですが、遺書には借金の事は一切書かれておらず、遺された家族のことが心配だということや謝罪の言葉が並んでいました。

当時は自死遺族という言葉は一般的ではなかったのですが、遺書と日記を読んだ時に自分が自死遺族であることを自覚しました。

日記には「本当はもっと娘たちが成長した姿を見たかった」という言葉が書かれていて、それを読んだ時、無性に悲しくなりました。

借金自死遺族の遺書

photo by gregt99

私だってもっと話しをしたかった。妹はもっとそうだ。

なのに何故?

そんな誰にも吐露できない気持ちと、自死遺族として口に出すことが憚れるような父への愛おしさを抑えつけるように、寂しさで涙が出て止まりませんでした。

もう2度と新しい言葉をかけてくれない父の面影だけが残像のように浮かんでは消え、また違う光景が浮かんでは消えてという繰り返しです。

その面影のどれもが、ただひたすら愛しく感じるばかりで、何度も遺書や日記を読みながら泣きながら父の筆跡をなぞっていました。

まるで会話をするかのように。

自死遺族の異変と悲しみ。

父が死去したことによって、遺された家族全員が喪失感を抱えるようになりました。

その後、原因となった借金の返済や連帯保証人となった知り合いがどうなったのかを私が知ることがありませんでした。

母が肩代わりで借金を返済したのか、どうやって処理したのか知る由もありませんでした。

その母は、父が亡くなってから塞ぎ込むようになりました。

いつもの優しさを感じなくなり、ぼんやりとしている表情をすることも多くなったので、母親までどこかに居なくなってしまうのではないかと不安に苛まれるようになりました。

母の一変した様子と重なるように、生活環境にも異変が起きました。

普段はお付き合いをしていない親族からも電話が増えました。

善意で励ましてくれるその電話も好意に捉えられず、様子を探られているような気になりました。

近所でも何となく子どもながらに、露骨に「不憫な目」で見られているような気持ちがして、後ろ指を指されているような落ち着かない日々が続きました。

妹はまだ小学生の低学年だったこともあり、よく父の死を理解できていないようだったのですが、その妹が自分で髪の毛を引っこ抜く動作をするようになり、知らないうちにストレスを抱えていることに気付きました。

私だけでシッカリしなければならないという気持ちばかりが強く先行して、悲しみに浸りながらの夜もゆっくり眠れることはありませんでした。

感情の異変。

自死遺族としての特有の喪失感から、生前の父への想いが募るばかりでしたが、時間が経つに連れて喪失感にも慣れていきました。

時々どうしようもなく寂しい時は、日記を読み返しながら「父との会話」で悲しみを紛らわせていました。

そんな日々が長く続きました。

その気持ちは今でも続いていて、けして終わらない悲しみなのかもしれませんが、一方で「どうして自分たちを置いて命を絶ったのか」という腹立たしい感情も湧き上がりました。

自死遺族、借金

自死遺族の持って行き場のない悲しみは、長い年月をかけて怒りの感情になっていきました。

事業に失敗した知り合いを恨んだことはありません。

借金を憎んだこともありません。

ただ、心の中でいつも何かに対して怒ってばかりいました。

そのため、父が死去してから5年間ほどは大好きだったのに、すごく嫌いになってしまいました。

自死遺族として成人した今。

父の日記や遺書を読み返すと、借金の返済に相当追い詰められていたということが伝わってきます。

いつも何かに怒っていた私は、あの時少しでも力になれていればと自分を責めるようになりました。

家族として娘として父親の借金返済の苦しみを知ることができなかった自分を責めました。

だから生活の中に楽しいことがあっても素直に喜んではいけない、むしろ我慢しなければならないと自分を追い詰めるようになったこともありました。

遺された家族は、それぞれの悲しみを共有することができないまま、自分を追いつめるように責めてしまいます。

その後は少しずつ、遺族として父の自死を冷静に受け止められるようになりましたが、その気持ちに至るまで10年間はかかりました。

父が借金の悩みをひとりで抱えて解決させようとした手段が自死です。

自ら命を絶つ理由は色々と考えられますが、借金が原因の自死でその悩みを打ち明けられないままに急に逝かれてしまうと、遺された家族はその当人の借金返済の苦しみ以上の苦しみを抱えてしまいます。

当時、中学生だった娘に借金の相談をしたところで解決はしないのですが、それでも突然にわけも分からないままに自ら命を絶たれるのであれば、せめて今抱えている問題や悩みを知っておきたかったという気持ちがあります。

よっぽど辛かっただろうという気持ち、命を絶つほど借金に悩んでいたことに気づけなかった私。

家族に話せないことなら、それでも構いません。

もしこれを読んで、借金返済の問題に悩んでいる方は、ひとりで抱え込まずに相談して欲しいです。

借金は保証人が肩代わりできても、亡くなってしまった人の身代わりは誰にもできないのです。

遺された家族は借金の被害者です。

父親の借金返済できない苦しみ以上の自責の念を長年に渡り抱え込んでしまいます。

ようやく自死遺族として家族で父親の思い出話をすることができますが、この10数年の間は笑ったという思い出もありません。

それだけ自死した家族を持つということは、自死遺族を追い詰めることを身を持って知っています。

借金が原因の父の自死を選んだ気持ちは、理屈の上では分かりますが受け入れることはできません。

一言でも相談されていれば違うのかもしれません。

それでもようやく父親が亡くなったことを事実としてを受け入れられるようになって、自死遺族が自分を責める必要はないと分かるまで長い苦しみに遭いました。

「自死遺族として借金なんかで自ら命を絶たないで」という気持ちと同様に、もし家族が自ら命を絶つようなことがあっても、自分を責めることは絶対にして欲しくないと思います。

匿名無料の借金相談(全国47都道府県対応)

今はインターネットの便利さを利用して24時間47都道府県どこからでも多重債務問題の解決に向けた借金相談ができる時代です。

平成20年以降、多重債務件数が減少した要因のひとつは、スマホの普及によって専門家への相談機会が増えたことです。

借金返済に困っていたり債務整理をご検討中の方で、匿名の無料相談をご希望の方はこちらで相談してください。

街角法律相談所

街角法律相談所

全国47都道府県から【匿名・無料】で申し込めて、お住いの地域の近隣の弁護士や司法書士が借金返済の相談、債務整理、過払い金の相談に対応します。

借金減額シュミレーターも無料で利用できて、相談したその時からメール返信、翌日には担当の専門家による迅速な対応が始まります。

弁護士法人アドバンス

顧客満足度9割以上のアドバンスは専門のスタッフが24時間対応(不在時は即日対応)で、借金返済の問題や債務整理の無料相談を最新のLINEタイプのチャット方式・弁護士ナビで受け付けています。

司法書士、公認会計士、行政書士も抱える安心の弁護士法人です。

-借金|自死遺族の手記
-, ,

Copyright© 借金相談 無料jp , 2018 All Rights Reserved.